民数記
要約 民数記は、救われた民が約束の地に向かって進む旅の中で、繰り返される失敗と不従順にもかかわらず、神が彼らを最後まで導かれる姿を示す書です。
- 執筆年代
- 紀元前1445~1405年(伝承)
- 時代
- 荒野の時代
背景
民数記は、出エジプトとシナイ山での契約の後、イスラエルの民が約束の地カナンに向かって荒野を通っていた時期を背景としています。書名の「民数記」は民の数を数えるという意味ですが、ヘブル語の書名「ベミドバル(荒野で)」は、この書の中心的な舞台が荒野であることを示しています。 荒野は単なる移動の経路ではなく、神との関係が試される場所でした。イスラエルはすでにエジプトから救い出されていましたが、なおも恐れと不信、不平を繰り返しました。民数記は、こうした現実の中で、神が民を見捨てることなく、約束された目的地まで導かれる方であることを背景として示しています。
内容
民数記は、イスラエルが約束の地へ向かう旅路で経験する失敗と回復の過程を記録しています。書の前半では、民の準備と移動、そして繰り返される不平と不従順が現れます。カデシ・バルネアでの偵察の出来事は、神よりも状況を大きく見たイスラエルの不信を代表的に示しています。 この不信の結果、イスラエルは荒野で長い時を過ごすことになりますが、神は彼らをお見捨てになりません。昼は雲の柱、夜は火の柱をもって導き、マナと水によっていのちを保たせてくださいます。これは、神の導きが人間の従順の有無によって容易に断ち切られるものではないことを示しています。 後半では、荒野の世代が去り、新しい世代が起こされていく過程が描かれます。繰り返される失敗の中にあっても、神は約束を撤回されることなく、次の世代を通してカナンへの入国を備えられます。民数記は、約束の成就が人間の完全さではなく、神の真実にかかっていることを明らかにしています。