旧約 5 / 66巻

申命記

要約 申命記は、約束の地を目前にしたイスラエルの民に、神が改めて契約を確認され、ご自身がどのような方であり、何をなさったのかを思い起こさせる書です。

著者
モーセ
執筆年代
紀元前1406~1405年頃(伝承)
時代
荒野時代の末期

背景

申命記は、出エジプトと荒野の旅を終えた後、イスラエルの民がヨルダン川の東側でカナンへの入国を控えている時点を背景としています。ヘブル語の書名「デバリム(ことば)」は、この書が主にモーセの説教の形式で記されたことを示しています。 荒野の世代はほとんど世を去り、新しい世代が約束の地に入る準備をしていました。この時点で神は、新しい戒めを与えられるよりも、すでに与えられた契約を改めて語り聞かせ、ご自身がどのような方であるかを思い起こさせてくださいます。申命記は、新しい出発を前にした民に与えられた「記憶のことば」です。

内容

申命記は、モーセを通して伝えられた三つの長い説教を中心に構成されています。モーセはまず出エジプトから荒野の旅までの歴史を振り返り、そのすべての過程が神の導きであったことを強調します。これは民の功績を示すためではなく、神の真実を思い起こさせるためです。 その後モーセは十戒と律法を改めて伝え、それが救いを得るための条件ではなく、すでに救ってくださった神との関係の中で与えられたことばであることを明らかにします。申命記で繰り返される「覚えなさい」という命令は、神の恵みを忘れないようにつなぎとめる叫びです。 最後に申命記は、祝福とのろいのことばを通して、約束の地での生活が人間の力と能力にかかっているのではなく、契約を最後まで堅く守られる神の御手の中にあることを明らかにします。 結局、申命記は、神がどのような方であるかを改めて語り聞かせ、契約の民を約束の地へと安全に導こうとされる神の最後の勧めのような書です。