旧約 8 / 66巻

ルツ記

要約 ルツ記は、混乱と不従順の時代の中にあっても、民の日常と小さな選択を通して神が救いの歴史を推し進めていかれる姿を示す書です。この書は、偶然のように見える日常の中で静かに働かれる神の御手を示しています。

著者
著者不明(伝統的にサムエルと関連づけられる書)
執筆年代
紀元前11~10世紀頃に編集(推定)
時代
士師の時代末期

背景

ルツ記は「士師が世を治めていたころ」を背景としています。士師記は繰り返される失敗と混乱に満ちた時代でしたが、ルツ記は、その暗い時代のただ中にあっても、神の恵みと契約が完全には途絶えていなかったことを示しています。 この書の舞台は、イスラエルを越えてモアブにまで広がります。モアブの女ルツの物語を通して、神の救いが特定の民族や血筋に限られることなく、契約の境界を越えて働いていることを暗示しています。これは、やがてイエス・キリストにあってすべての民族に開かれる救いをあらかじめ照らし出す背景となります。

内容

ルツ記は、飢饉のためにモアブに移り住んだナオミの家庭から始まります。ナオミは夫と二人の息子を失い、深い喪失の中で故郷に帰り、モアブの女ルツは先の見えない状況の中にあってもナオミとともにイスラエルへ帰ってきます。この帰還は偶然の選択ではなく、神が救いの歴史を再びつなぐために備えられた道として描かれています。 イスラエルに着いたルツはボアズの畑で落ち穂を拾うことになり、この出会いは表向きには偶然のように見えますが、神の摂理の中で起こった出来事であることが明らかになります。ボアズは律法に従って買い戻しの権利を持つ親族として代価を払い、ルツとナオミを守って回復の道を開きます。これは、罪と喪失の中にある者に代わって代価を支払い、救ってくださるまことの贖い主イエス・キリストを予告しています。 物語の終わりにルツはボアズと結婚して男の子を産み、この家系はダビデ王へと続いていきます。これは、ルツ記の物語が個人の回復にとどまらず、ダビデ契約、さらにはダビデの子孫として来られるイエス・キリストへとつながる贖いの歴史の流れの中にあることをはっきりと示しています。 結局、ルツ記は、神が偉大な奇跡だけでなく、誠実な愛と日常の真実を通してもご自身の救いの計画を成し遂げていかれ、すべての歴史がイエス・キリストに向かって進んでいることを静かに証しする書です。